てかてんの書斎

本業はメーカーの商品開発エンジニア。自宅ではもっぱら読書を楽しむ書評ブロガーとして活動中。読書は年間100冊ペースで、小説でもビジネス書でもなんでも読みます!ブログでは、書評・本から得た学びと考え・その他雑記記事を書いています。

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「秒速5センチメートル」を読んで、人は幼少期から変わらない強い思いの素晴らしさを感じた

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小説 秒速5センチメートル (角川文庫)

 

 

 

秒速5センチメートル

 

新海 誠 著 読了。

 

 

今話題になっている映画「君の名は」の監督「新海 誠」さんが以前発表した作品である「秒速5センチメートル」。

 

この作品は、映画だけでなく、ノベライズとして小説が発売されていましたので、今回はこのノベライズ本についてレビューをまとめていきます。

 

 

「君の名は」の書評は以下

 

tekaten.hatenablog.jp

 

 

 「秒速5センチメートル」は、主人公の貴樹が小学校で一人の女の子、明里と共に過ごしているシーンからスタートする。

 

二人はとても仲が良く、いつも小学生らしからぬ知的な会話を楽しみながら、二人でたくさんの時間を過ごしていたが、中学で離れ離れになってしまい、そこから大人になっていく過程を描くストーリーとなっています。

 

この一連の物語から感じた「人は幼少期から変わらない強い思いの素晴らしさ」を記事のテーマとし、あらすじや感じたことをまとめていきます。

 

 

 

 

今回のトピックはこちら。

 

 

秒速5センチメートル」のあらすじ

 

幼少期から大人まで、ずっと変わらない想いは素敵である

 

すごくリアリティのある物語

 

終わりに

 

 

 

秒速5センチメートル」のあらすじ

 

秒速5センチメートル」は3つの短編の集まりで描かれています。

 

 

① 小学生〜中学生

  小学生だった貴樹と明里は、毎日小学生らしからぬ会話で楽しんでいた。

  宇宙の年齢、銀が溶ける温度など、

  この世の理に関するちょっと大人びた知識をかき集めては、

  二人で話して楽しんでいた。

  「桜の花びらが落ちる速度だよ。秒速5センチメートル

  明里のそんな言葉が、貴樹の耳に残る。

 

  貴樹と明里が離れ離れになり、中学生の頃一度だけ再開する。

  ずっと手紙のやり取りだけだった二人は、電車を乗り継いででも

  会うことを約束する。

  雪による電車の遅れで、予定を何時間も遅れて再開し、

  結局お互いの思いを伝えることなく最後のお別れを済ませてしまう。

 

 

② 高校生

  親の転勤で鹿児島の高校へ転校した貴樹。

  そこで出会った少女、花苗の目線で貴樹を追いかける。

  花苗はサーフィンに憧れ、毎日サーフィンの練習に打ち込み、

  貴樹は弓道部員として熱心な練習に励んでいた。

 

  花苗は貴樹を普段ずっと見ていて、

  「貴樹には思い人が東京にいる」

  となんとなく察していた。

 

  実はサーフィンで波に乗れたことがなく、

  「最初に波に乗れた日は、告白する」

  と心に決めていた。

 

  そしてついに、波に乗れた朝が来る。

 

 

 

③ 大学生〜就職して数年間

 

  大学時代、就職してからを含め、その間に縁があった女性と貴樹の話。

  そのいくつかの恋愛の中で、貴樹の変わらない想いが揺れ動く。

  プログラマーとして仕事でも活躍し、数人の女の人とも

  しっかり向き合って恋愛した。

  その度に凹んだり、悩んだり、恋愛の辛さや楽しさを感じた。

 

  それでもふと、明里を思い出すことがある。

  「秒速5センチメートルだよ」

  そんな会話を思い出す。

 

  明里は結婚し、人並みの幸せを手にしていた。

  それでもふと、思いを伝えられなかった少年の姿を思い出す。

  雪のつもった冬の日、二人で会った最後の日を思い出す。

 

 

  そしてついに、

  街中で、線路の向こうに立つあの人の姿を捉える。

  二人の間を電車が通過していく。

  「この電車が通過したら、一歩踏み出してみよう」

  

 

 

このような3つのストーリーで構成されています。

 

 視点が変わったり、貴樹少年の成長をゆっくり見届けるように描かれた、とても優しい物語で、甘酸っぱい気持ちになれる作品です。

 

 

 

 

  

幼少期から大人まで、ずっと変わらない想いは素敵である


秒速5センチメートル」で特に注目したいのが、貴樹の幼少期から大人になるまでずっと変わらない明里への想いです。


中学生くらいまでは、明確に明里が好きだと感じていて、高校生から大人になるにつれてずっと心に何か引っかかる感じだがそれが何かわからないといった感覚を持っています。


子供の頃ほど素直になれていないだけだと思いますが、成長してもずっと明里を想っていたという描写です。


そのため、高校で好意を寄せてくれていた女の子にも、大学や働き始めてから付き合った女性にも、どこか遠くを見ているようで私を見てくれていないと感じさせてしまいます。


ずっと心に引っかかっている想いが、貴樹のやる気を奪い、うまくいかない人生に繋がってしまっていくのです。



子供の頃に抱いた想いが、成長してもなお忘れられない。


とても素敵で、純粋な気持ちだと感じます。




 

すごくリアリティのある物語

 


前述の貴樹の気持ちと同様に、登場する他の人物にもリアルな心理描写がなされています。


貴樹の想い人の明里の心理描写も美しく、その他貴樹に想いを寄せる数人の女性の気持ちもかなりリアリティがあります。


秒速5センチメートル」で注目すべきポイントは、何度も書いていますがやはり「心理描写」でしょう。


恋愛において誰もが経験したことがある、あの苦しい気持ちや嬉しい気持ちを、文章で見事に表現しているなと目を見張ります。


ストレートに苦しいとか、ただ嬉しいと書いているわけではないのに、実体験のように感じられる文章は素晴らしいです。


こちらはぜひ読んで体感していただきたいなと思います。




終わりに



映画と小説「君の名は」で感銘を受け、すぐに購入した「秒速5センチメートル

新海誠さんの作品にとてもはまってしまっています。

タイトルになっている「秒速5センチメートル」という言葉は、明里が小学生の頃に貴樹に教えた言葉なのですが、

実は作中で何度も登場するわけではありません。

むしろ数えるほどしかでてこないのです。

この言葉がタイトルになっている意味を考えると、やはり貴樹にとっての明里の存在が、いかに大きいものだったかを印象付けます。

新海誠さんの描く作品には、こういった純粋な気持ちのようなものが共通してあることで、作品の魅力が引き立っている感じがします。


いま、新海誠さんの作品で「言の葉の庭」という作品を読んでいるので、近々書評をまとめたいと思います。


 

小説 秒速5センチメートル (角川文庫)
新海 誠
KADOKAWA/メディアファクトリー (2016-02-25)
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