てかてんの書斎

本業はメーカーの商品開発エンジニア。自宅ではもっぱら読書を楽しむ書評ブロガーとして活動中。読書は年間100冊ペースで、小説でもビジネス書でもなんでも読みます!ブログでは、書評・本から得た学びと考え・その他雑記記事を書いています。

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【書評】「8.1Game Land」(山田悠介)3編収録のホラー短編集その2

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8.1―Game Land (角川文庫)

 

「8.1Game Land」

 

山田 悠介 著

 

 

「8.1Game Land」は、文庫として出版された山田悠介さんの短編小説集になっています。

「8.1Horror Land」に続いて2作目になる短編集には、3つの短編が収録されていて、内1つは文庫のために書き下ろした作品になっています。

 

これから暑くなる夏のシーズンに、サクッと読めてちょっと冷んやりできるホラーものを読むのもいいですよね。

長編だと時間がかかってしまうから苦手だという人にも、短編小説ならピッタリです。

ちょっと暇を見つけて読んでみてはいかがでしょうか?

 

 

今回のトピックはこちら!

 

 

 

 

 

 

「8.1Game Land」の収録作品とあらすじ

 

「8.1Game Land」には次の3作が収録されています。

 

○ ジェットコースター

○ 写真メール

○ 人間狩り

 

よくホラーに登場しそうなタイトルから、内容が想像できないタイトルまでそれぞれ違ったジャンルの作品が収録されています。

 

一つずつ、簡単なあらすじを書いていこうと思います。

 

 

○ 「ジェットコースター」のあらすじ

 

年上の彼女と平日の遊園地へデートに来ている金子達也。

付き合って2年になる彼女は、今年24歳を迎える一般企業のOLで、達也は21歳で大学3年生。

喧嘩は多いけれど、一緒にいると落ち着いている自分に驚きつつも、ずっと交際が続いているのだから相性はいいのだろう。

 

達也の誕生日に遊園地デートをしようと彼女からの誘いがあり、今日は特別な日になりそうな感覚だ。

 

苦手なお化け屋敷をなんとかすり抜け、ジェットコースターに乗ることに。

実はジェットコースターも苦手な達也だったが、彼女の機嫌を損なわないようになんとか耐えることにした。

1周の間、なんとか我慢した達也だったが、スタート地点に戻ったジェットコースターはそのまま2周目に突入した。

異変に気付いてざわつくジェットコースター。

最も高い点に差し掛かったところでジェットコースターは止まってしまった。

 

アナウンスが流れる。

これから座席が外れる。最後の一人までブラ下がり続けられたものだけ生き残れる。

 

達也たちは、地獄のサバイバルゲームに巻き込まれてしまったのだ・・・

 

 

 

○ 「写真メール」のあらすじ

 

動物や昆虫の死骸を撮影することを生きがいとしている本田輝は、今日もニュースに食い入るように見入っていた。

今放送されているニュースは殺人事件。

感情は高ぶっていくが、事件現場は自宅からかなり遠くの場所だったため、気持ちは徐々に冷めていった。

 

誰も撮れないような、そして撮りたくないような写真を撮る。

それこそ、輝の大いなる目的だったのだ。

 

ある日ぼんやりラジオを聴いていると、自宅の近所で女性が殺害されたという事件が放送されていた。

そしてその子供が行方不明なのだという。

事件現場に向かったが収穫はなく、近所の公園でだらけていると小さな男の子が慌てたように輝をある場所に連れて行こうとする。

 

男の子について行った先には、輝が探し求めていた光景が広がっていた。

果たして、輝のとった行動は?そして、その男の子は一体・・・?

 

 

 

○ 「人間狩り」のあらすじ

 

 

ある山奥に2つの村が存在する。

龍楼村と虎藩村の2つの村だ。

 

龍楼村は、虎藩村の人間たちに「狩り」をされている。

虎藩村の下級村民が武器を持って追いかけてきて、追い詰めたところで上級村民が弓矢で仕留めるという恐ろしい狩りだ。

いわば、上級村民のご機嫌のために執り行われている儀式のような感覚だった。

 

龍楼村は、50人をきってしまった。

10年前の10分の1まで減少してしまっている。

 

主人公のタミオは、ただ狩られるのを待つのではなく、なんとかして虎藩村の奴らに復讐してやろうと考えていた。

今日こそ必ず実行してみせる。

そんな風に気持ちを固めて狩りの現場から逃げ回るタミオだが、その運命やいかに・・・

 

 

オススメの1編は「ジェットコースター」

 

 

この「8.1Game Land」の作品の中で、てかてんがオススメする1編は「ジェットコースター」です。

 

 幸せな日常を描いている中、突如として絶望に転じる瞬間がとても面白い。

そして、1人しか助からないという絶望的な設定の中で、主人公が苦悩しながらもなんとかしようとするシーンも面白かったです。

何より、カップルでジェットコースターのサバイバルゲームに突入してしまったため、自分の命を守るのか、大切な彼女を守るのか?という究極の選択が読み応えアリですね。

 

自分だったらどうするだろう?とちょっと考えさせられましたねー。

自分の命と大切な人の命が天秤にかけられた時、どっちも選べないけれど迷っている時間もありません。

まさに、2度目ですが「究極の選択」ですよね。

 

自分たちが助かるためには?という考え方もあるし、2人が最後まで残れば自分が犠牲になることもできるという考え方もある。

でもそのためには、自分たちを除く他の人たちが先に犠牲にならなければならない。

 

とんでもない状況ですよね・・・

 

約90ページの作品の中で、本当に様々なことを考えさせられました。

オススメの1編です。

 

 

 

終わりに

 

面白かったですねー。

もともとホラーものが好きなてかてんですが、長編1作を長く読んでいくことよりも短編をさくさく読んでいく方が楽しめるのかもしれません。

 

「本当にあった怖い話」のような視聴者投稿をもとにした映像作品も好きなので、短い時間で色々なエピソードを楽しむ方が刺激的なのかもしれませんね。

ホラーものはピークのシーンが命なので、長く伏線を張りながらじわじわ怖がらせるのは難しいと思います。

その点、短編だとピークを持って作品を閉めてしまえばOKですし、その分1冊の中に収録された作品の分だけピークを持ってくることができる利点がありますね。

 

この夏、暇を見つけて読んでほしい1冊です。

 

 

前作、「8.1Horror Land」も短編3作を収録したホラー短編集になっています。

書評記事を以下に貼っておきますので、よろしければご一読ください。

 

 

tekaten.hatenablog.jp

 

 

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